日記

出産レポ⑥|退院後のガルガル期。コミュニケーションが家族を救ってくれた

なつみ

退院して2〜3日目。

身体の回復はとても順調で、これまでの産後と比べても痛みやむくみが少なく、私自身も「今回はかなり元気かも」と思っていました。

でも、身体が動けたからこそ、少し余裕をこいてしまったのかもしれません(笑)

退院した日は、家族との初めての顔合わせもあり、にぎやかに過ごしました。

家に帰ってからも、入院バッグの片付けや掃除、細かな家のことが気になってしまって。

「今すぐ片付けたい」

そんな気持ちのまま、産後の身体でずっと動いていました。

身体は元気なのに、なぜかイライラする

退院して2〜3日ほど経った頃。

身体は元気なはずなのに、なぜかものすごくイライラするようになりました。

キッチンが少し汚れているだけで、とても不快に感じる。

細かなところが気になって、ずっと掃除をしてしまう。

陽向や心結の何気ない言葉にも、普段なら気にならないようなことなのに、強く反応してしまう。

パパが子どもたちにかける言葉まで、いちいち気になってしまい、

「その言い方、どうなの?」

と、心の中がずっとピリピリしていました。

自分でも、どうしてこんなにイライラしているのか分かりませんでした。

子どもたちに少し強く言ってしまったあとには、すぐに申し訳ない気持ちになる。

でも、またすぐにイライラする。

その繰り返しでした。

ついには、

「もう、彩葉と二人だけになりたい。」

そんなことまで、心の底から思ってしまいました。

私も、まだ産後だった

どうしてこんな状態になっているのか分からず、調べてみると、産後に赤ちゃんを守ろうとする気持ちが強くなり、家族に対して神経質になったり、攻撃的な気持ちが出たりする、いわゆる「ガルガル期」と呼ばれる状態があることを知りました。

その言葉を見たとき、

「ああ、私もちゃんと、まだ産後なんだ。」

と、少しだけ安心しました。

身体が元気に動けるからといって、心やホルモンの状態まで、すぐに元どおりになるわけではない。

出産を終えたばかりの身体は、見た目以上に疲れている。

そんな当たり前のことを、私は少し忘れていたのだと思います。

助産師さんに話したことで、少し楽になった

産後3日目には、母乳外来がありました。

そこで助産師さんに、今の自分の状態を話しました。

「自分でも理由は分からないけれど、ずっとイライラしてしまいます。」

「今日はもう、実家に帰らせてもらおうと思っています。」

そう口に出して話せただけで、心が少し軽くなりました。

自分の中だけで抱えていると、

「どうして私はこんなに怒っているんだろう」

「子どもたちに申し訳ない」

と、自分を責める方向にばかり気持ちが向かってしまいます。

でも誰かに話すことで、初めて、

「私は今、疲れているんだ」

「少し休みたいんだ」

と、自分の状態を理解することができました。

当事者より、家族の方が戸惑っていたのかもしれない

私は、自分の身体や心の変化を直接感じています。

痛い。

疲れた。

眠りたい。

一人になりたい。

理由はうまく説明できなくても、少なくとも「今、自分がしんどい」ということは感じられます。

でも、パパや子どもたちからすると、突然お母さんが怒りっぽくなり、何をしてもイライラしているように見えます。

きっと、

「何が起きているの?」

「どうしたらいいの?」

「自分が何か悪いことをしたのかな?」

と、戸惑っていたのだと思います。

そう考えると、当事者である私以上に、周りの家族の方が苦しかったのかもしれないと気づきました。

「何をしてほしい?」と聞かれても、私にも分からなかった

母乳外来から帰ったあと、パパが聞いてくれました。

「なんでそんなにイライラしているの?」

「何か足りないものがある?」

「やってほしいことはある?」

でも、そのときの私にも答えは分かりませんでした。

「私もよく分からない。」

「でも、とにかく疲れたから休みたい。」

そう伝えて、その日は早めに寝室へ行きました。

実家には帰らず、家の中で少しだけ距離を取り、一人で静かに休むことにしました。

言葉にできないときは、身体から緩めてもらう

寝室で休んでいると、パパが来てくれました。

「身体、きついの?」

「ケアしようか?」

そう言って、身体を触り、マッサージをしてくれました。

身体が少しずつ緩んでいくと、不思議と気持ちも落ち着いていきました。

そのとき、ようやくパパとも少し話すことができました。

「やっぱり、まだ産後なんだと思う。」

「自分でもよく分からないけれど、少し疲れていて、今はピリピリしている。」

「だから、少しだけ時間をちょうだい。」

その夜はミルクもパパにお願いして、しっかり眠ることにしました。

すると翌朝は、前日までの気持ちが嘘のように、かなりすっきりしていました。

必要だったのは、正しい答えではなかった

今回の経験を通して、コミュニケーションは本当に大切だと感じました。

でも、必ずしも自分の状態をきれいに説明できなくてもいいのだと思います。

「なぜイライラしているのか、自分でも分からない。」

「何をしてほしいのかも、まだ分からない。」

それでも、

「今は疲れている。」

「少し一人になりたい。」

「今日は眠らせてほしい。」

「ただ話を聞いてほしい。」

その時に分かることだけでも、伝えることはできます。

言葉にすることが難しいときには、身体に触れてもらったり、赤ちゃんのお世話を代わってもらったり、眠る時間をつくってもらったりする。

「うまく話せないから、何も伝えない」ではなく、できる形で助けを求めることが大切なのだと思いました。

産後の家族に必要なのは、分かり合う努力

産後のお母さんの心や身体に、何が起きているのか。

本人にも、すべてを説明することはできません。

だからこそ、家族がお互いに、

「今、どんな感じ?」

「何かできることはある?」

「分からないけれど、とりあえず少し休もうか。」

と、話しながら探していくことが必要なのだと思います。

パパが私の変化に気づき、声をかけてくれたこと。

答えられない私を責めず、身体をケアしてくれたこと。

夜のミルクを代わり、眠る時間をつくってくれたこと。

その一つひとつに、本当に救われました。

そして私自身も、家族に察してもらうことだけを求めるのではなく、分からないなりに自分の状態を伝えていきたいと思いました。

体調が良くても、産後は産後

身体が動ける。

痛みも少ない。

家事もできる。

だから大丈夫。

そう思っていました。

でも、身体が元気そうに見えても、心やホルモンはまだ大きく揺れている。

出産を終えた身体には、休息が必要でした。

退院したからといって、産後が終わったわけではありません。

むしろ、病院から家へ戻り、家族との生活が始まってからこそ、頑張りすぎない工夫が必要なのかもしれません。

ガルガル期が教えてくれたこと

あの数日間は、家族に申し訳ない気持ちもあり、私自身も苦しかったです。

でも振り返ると、あの時間があったからこそ、気づくことができました。

自分でも分からない気持ちを、一人で解決しなくていい。

理由が分からなくても、「しんどい」と言っていい。

家族は、私の心を読むことはできない。

だからこそ、少しずつでも言葉にする。

そして家族も、すぐに答えを出そうとせず、ただ聞いたり、触れたり、休ませたりしながら、一緒に過ごしていく。

産後のコミュニケーションは、問題をきれいに解決するためではなく、家族みんなが孤独にならないためにある。

今回の出来事を通して、そんなことを感じました。

退院後3日目。

私はまだ、自分が思っている以上に産後でした。

そして、そんな自分を支えてくれる人がいることにも、あらためて気づくことができました。

イライラしてしまったことも。

一人になりたいと思ったことも。

うまく説明できなかったことも。

全部を含めて、家族で産後を過ごしている途中なのだと思います。

まだまだ始まったばかり。

無理をせず、話しながら、頼りながら、この時期をみんなで乗り越えていきたいです。

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